雨上がり

三日三晩、降り続いた、雨もあがり、ぼろアパートから、出た僕は、久しぶりに、ゆったりとした、気持ちになったので、近所の河原を、散歩してみることにした。川は、濁流をのみこみながら、コーヒーカラーと、なっていた。「やれやれ、これじゃ、カルガモの、親子たちも、のんびり、水草を、食むことも【 はむことも 】できないな。」そんな、のんびりとした、昼下がり、無性に、酒が飲みたくなったので、近くの、ジャズ喫茶へと、足を向けた。薄暗い、地下にある、そのジャズ喫茶の、名前は、「ピーターキャット」という、少し、右に傾いた、看板が、出されていた。なんでも、その店のオーナーさんは、無類の猫好きで、ピーターという、店名は、飼っている、猫から、とったそうだ。薄暗い階段を、降りて、ドア🚪を、開けると、そこには、古いピアノと、幾人かの、淋しげな、男達が、まるで、もうすぐくる、人生の、終焉と、言わんばかりの顔つきで、グラスを、傾けていた。カウンターに、座った僕は、スコッチのオン・ザ・ロックと、簡単な、レタスとトマトの、詰まったサンドウィッチを、頼んだ。隣の、カウンターでは、今どき、古風な、赤いドレスを、着た女が、ギムレットを、飲んでいた。