古き民話集

その、太古の、大昔、人里離れた山奥に、コザと、呼ばれる、先住民族が、暮らしておったそうな。彼らの、ほとんどが、顔のまわりに、ちょうど、お椀に、入れた、清水に、一粒の、雫を、落としたときにできる、こそばゆい、水面のような、流線型の、入れ墨を、皆が一様に、ほどこしておったそうじゃ。なんでも、それは、産まれたばかりの、赤ん坊が、恐ろしい、魔物に、拐われないための、魔除けの意味あいで、彫られるもの、だったそうな。