ある朝、少年に、与えられた、不思議な、魔力

その者は、ある時期から、自分に、不思議な、能力を、そう、今まで、誰も、手にしたこともないような、能力を、持っていることに、気付いた。そして、それは、つかいみちを、一歩、誤ると、この世界さえも、破滅してしまうほどの、危険な、力であった。それは、深い、深い、谷底の、穴蔵から、這い起き、朝の、日差しが、ちょうど彼の、肩から、足のつま先までに、ゆきとどいた、ちょうど、そのときの、出来事であった。

そして、そのときに、彼は、同時に、もう、かつて、自分自身が、オオカミたちと、戯れていた、そう、当時の、昔の、自分自身を、喪失している、ことにも、同時に、気付いた。その瞬間、彼の、頬に、一滴の、清水【せいすい】が、ちょうど、丸い、楕円形【だえんけい】の、お椀に、雫を、一滴、垂らしたときに、できる、そう、ちょうど、そんな民族調の、紋様の、ような、一雫の、涙、だった。それから、彼は、少しづつ、少しづつ、自分が、これまで、抱えていた、重荷が、彼の肩から、振り落とされる感覚を、覚えた。そして、彼は、同時に、宇宙の、鼓動する、オウムの、鳴き声を聴き、茂みのなかで、虫たちの、奏でる、美しい音色に、耳を、傾けた。彼は、そんなふうにして、一歩づつ、一歩づつ、主に、導かれた、新しい道を、歩きだした。少し、かかとの、擦り傷の、痛みは、気になるけど、それでも、彼は、ひとり、淋しげな、影を、引きずり、歩き、だした。それは、まるで