【「ゴドーを待ちながら」についての随筆】

二人の浮浪者は、ゴドーを待ち続けます。しかし、いけどもいけども、ゴドーは姿を現す気配がありません。ただ、それだけの小説です。退屈と言えば退屈な小説かもしれません。しかし、私は、その退屈さの中に、ほんのかすかにひかる灯火を見いだしたのです。そうです、その灯火から目を離さず、できるだけ意識を俯瞰してとらえるよう努めました。その瞬間、私は、彼の芸術性をほんの少し垣間見ることができたのです。それからというもの、私にとってこの一冊の書物は友となりました。