限りなく、透明に、近い、ブルー

飛行機の、プロペラの、音では、なかった。僕の、耳のまわりを、ゆっくり、迂回する、それは、小さな羽蟲の、音だった。リリーは、脱ぎ捨てた、パンティーストッキングを、気だるそうに、手とり、何やら、ブツブツと、独り言を、漏らしている。昨夜の客はさ、、、そんで、あたし、途中で、面倒になってさ、帰りたいって、言ったの、そしたら、奴ときたらさ、5分で、終わらせるから、そんなこと言わずに、とにかく、シャワーを、浴びてこいって、しつこいときたら、ありゃしない。台所の、ながしには、もう、随分、前に、果物ナイフで、切り取った、パイナップルの、残骸が、腐乱しており、悪臭を、放っている。僕は、足元に落ちている、洋梨の、形をした瓶のオーデオコロンを、拾い上げ、ターンテーブルの上に、ことりと、置く。デスクの上には、数冊の、古い、ペーパーバックと、パルムの僧院の、上巻が、無造作に置いてある。

そのときだった、僕らの、頭上高くを、南西の、空のほうへと、まるで、ハレー彗星のような、淡い、透明に近いブルーの、残光が、けたたましい、爆音を、たてながら、物凄い、スピードで、僕らの上空を、走り去って、いったのだ。

そして、その、瞬間、僕らは、いつもの、ベッドの上で、重なり合うように、抱き合い、一緒に、そう、オルガズムを、むかえて、いたのだった。そして、二人は、ゆっくり、顔を上げ、そう、お互いの、瞳を、まん丸くして、不思議そうに、そう、ただ、ただ、みつめ、あって、いたのだ。

その瞬間だった、僕らの、ベッドの、まわりを、なんと、小さな、小人たちが、仲良く手をつなぎ合い、夢だけど、夢じゃ、なかった、夢だけど、夢じゃ、なかった、夢だけど、夢じゃ、なかった、、、
僕らは、ただ、ただ、その、小人たちを、

 

グレートギャッツビー、序文

 

お前に、もし、仮に、理不尽なことを、言う人間が、現れたら、こう、考えるんだ。その人たちは、お前ほどに、恵まれた境遇には、いないのだと。父と、僕は、何かの、事柄について、深く、語り合った、という、記憶は、ないものの、この、父が、僕に、残した言葉は、成長した僕の、記憶に、しっかりと、焼きつけられ、後々まで、この言葉が、耳をついて、離れなかった。そして、少なからず、この、父の言葉の通りに、人付き合いをした、僕の周りには、いつも、一風変わった、人たちだけが、残ることに、なった。