落下傘花火と、僕

その頃の、僕らは、まるで、落下傘花火のなかを、クルクルと、まわり続ける、白い、木霊のような、存在だったのかもしれない。何故なら、僕らは、酷く、周りから、軽蔑されて、憎まれ、疎まれ、虐げられていたし、それに、何よりも、そんな僕ら自身も、お互いのことを、少しづつではあるが、信じられないように、なっていたからだった。

それで、僕は、ある日、妻に、銀行に行ってくると、告げて、そのまま、家を、出たのだった。